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糖尿病と歯周病の関係について

2025.02.15

歯科コラム

歯周病菌と糖尿病の相互関係:炎症性サイトカインの役割

1. 歯周病菌と糖尿病の関係
①歯周病菌の影響
歯周病菌(Porphyromonas gingivalis など)は、歯茎や歯槽骨に炎症を引き起こし、炎症性サイトカイン(IL-1β、TNF-α、IL-6 など)を放出します。これにより慢性的な炎症が続き、インスリン抵抗性が悪化し、糖尿病の進行を促すことがあります。

②糖尿病の影響
糖尿病患者は血糖値が高いため、血管や免疫機能に悪影響を及ぼし、歯周病が進行しやすくなります。特に、高血糖状態が続くと免疫機能が低下し、歯周病菌に対する防御機能が弱まります。

2. 炎症性サイトカインの役割
①IL-1β(インターロイキン1β)
歯周組織の炎症を促進し、骨吸収(歯槽骨の破壊)を引き起こします。

②TNF-α(腫瘍壊死因子α)
インスリン抵抗性を高め、糖尿病の悪化を助長するとともに、炎症を増幅させる作用があります。

③IL-6(インターロイキン6)
慢性炎症に関与し、糖尿病や動脈硬化などのリスクを高めるとされています。

3. 対策
①歯周病の治療・予防
・歯科医院での定期的なクリーニング
・自宅での適切な口腔ケア(歯間ブラシやデンタルフロス)                             これらが糖尿病の管理にも寄与します。

②血糖コントロール
・糖尿病の適切な管理(食事・運動・薬物療法)                                これらが歯周病の進行を抑えるのに有効です。

4. 最新の研究動向
最近の研究では、歯周病の治療を行うことで糖尿病患者の血糖コントロールが改善することが報告されています。逆に、歯周病を放置すると全身の炎症が悪化し、糖尿病合併症のリスクが高まる可能性が示唆されています。

5. 内科と歯科の連携の重要性
歯周病菌・糖尿病・炎症性サイトカインは相互に関係し合い、全身の健康に大きく影響を与えます。そのため、内科と歯科が連携して治療を進めることが重要です。

 

医療法人社団 中野歯科医院

理事長 小笠原 延郎

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