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TCH(歯列接触癖)とは? ~知らぬ間に歯と顎に負担をかけていませんか?~

2025.07.15

歯科コラム

日常生活の中で、上下の歯を無意識に接触させていることはありませんか?
それは「TCH(Tooth Contacting Habit/歯列接触癖)」と呼ばれる、歯科的に問題となる習癖の可能性があります。

今回は、TCHとは何か、そしてそれが私たちの口腔や全身にどのような影響を及ぼすのかをご紹介いたします。


■ TCH(歯列接触癖)とは
TCHとは、「上下の歯が持続的または頻繁に接触している状態」を指します。
本来、リラックスした状態では上下の歯の間には1〜2mm程度の隙間(安静空隙)があるのが正常です。
しかし、緊張時や集中時などに無意識に歯を接触させてしまうことがあり、これが習慣化すると、さまざまな口腔トラブルの原因となります。


■ TCHが引き起こす可能性のある症状
TCHによって、以下のような症状や不調が生じることがあります。

1.顎関節症(顎の痛み、開口障害、関節音など)
2.歯の過敏感や不快感
3.歯周組織への慢性的な負担
4.詰め物・被せ物の破損や脱離
5.咬筋や側頭筋の緊張による頭痛や肩こり

これらの症状は、明確な原因が見つかりにくいため、「なんとなく調子が悪い」といった曖昧な不調として現れることもあります。


■ TCHの自己チェックポイント
次のような傾向がある方は、TCHの可能性が考えられます。

1.安静時に上下の歯が接触していることが多い
2.顎のだるさや筋肉の疲労感を感じる
3.起床時に顎がこわばっている、または歯に違和感がある
4.歯がすり減っていたり、詰め物がよく外れる

 

■ TCHの対処方法
TCHの改善には、まず「自分の癖に気づくこと」が大切です。以下のような対策が効果的です。

1.日中、「上下の歯を離す」ことを意識する(付箋やスマートフォンのリマインダーを活用)
2.デスクワーク中など、緊張しがちな場面ではこまめに深呼吸を行う
3.就寝時に症状が強い場合は、マウスピース(スプリント)の使用を検討
4.歯科医院でのTCHに関する指導や定期的なチェックを受ける


■ おわりに
TCHは自覚しにくい習癖でありながら、歯や顎、筋肉に対して慢性的な負担をかけてしまうことがあります。
「原因不明の歯の違和感」や「顎の不快感」が続いている方は、一度TCHの可能性を考慮してみてください。

当院では、TCHを含めた咬合や顎関節の不調に対するご相談も承っております。気になる症状がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

 

医療法人社団 中野歯科医院

理事長 小笠原 延郎

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