審美的歯科治療 Esthetic

審美的歯科治療とは

審美的歯科治療とは

審美的歯科治療は、見た目の美しさや自然さにも配慮した歯科治療です。ただし、ただ見た目をきれいにするのではなく、病気を改善して噛む機能などを回復することが前提となります。よく噛めるようにするとともに「見た目のきれいなクラウンにしたい」「笑ったときに口元が自然に見えるようにしたい」といったご希望をかなえる治療です。
多くの方が口元の審美性で悩まれるのが、銀歯です。銀歯は金属で作られているので、口を開いたときに目立ってしまいます。こうした補綴物をセラミックなどの白いものにかえることで、周囲の歯と調和した色合いになります。
審美性を追求した治療となるため自費診療になりますが、補綴物の色調や形態を丁寧に調整し、患者さまにご納得いただけるきれいな補綴物を製作します。

補綴物の種類

クラウン

クラウン

歯が大きく欠けており、被せるようにして装着する補綴物です。補綴物の範囲が広くなり、銀歯などにした場合は目立ちやすくなります。一方、セラミックなどの白く自然な素材であれば、美しく見せられます。また、装着したときに違和感を覚えないよう、噛み合う面や形態などを丁寧に加工する必要があります。

インレー

インレー

噛み合う面や隣り合っている面など、歯の一部が欠けている際に補綴するものです。クラウンより小さな面積になるものの天然歯の一部となって装着するので、保険診療の銀歯などでは目立ってしまいます。セラミックのような白い素材であれば、天然歯と調和した色合いになります。歯と接着したときに隙間ができると細菌が入り込んでしまうので、ぴったり適合するよう慎重に加工します。

トランスルーセントジルコニア

トランスルーセントジルコニア

トランスルーセントジルコニアは、ジルコニアのように高い強度があるだけでなく、セラミックに劣らない透明感が特徴です。透過性と強度を両立した補綴物といえるでしょう。VITAシェード16色に対応しており、色調を細かく再現できます。ステイニング(着色)をすることによって、さらに自然な色調に仕上げられます。

コア

コア

歯根を補強する補綴物をコアといいます。神経を失った歯は歯質が脆くなるため、歯根の部分にコアとよばれる土台を入れて補強し、そのうえでクラウンなどを施します。歯質が残っていない状態でクラウンなどをしても、残っている歯が割れたり補綴物が取れたりするおそれがあります。コアにも保険診療や自費診療などさまざまなタイプがありますが、歯の寿命にもかかわるものなので素材選びが重要になります。

補綴治療の素材

ジルコニア

ジルコニア

「人工ダイヤモンド」ともよばれるセラミックの一種で、強度の高さが特徴です。奥歯のように強く噛む歯にも適用でき、食いしばりなどの癖がある方が使用しても割れる心配はほとんどありません。色調や強度、耐久性のいずれも優れた素材となっており、長く装着していても着色しにくいとされています。そのため、高い審美性を維持できます。また、金属アレルギーのある方でも安心して使用できます。

ハイブリッドセラミック

ハイブリッドセラミック

セラミックにレジンを混ぜた素材です。セラミックが含まれているので、ある程度の強度や耐久性を得られます。色調は純粋なセラミックに劣るものの、天然歯の色に近い補綴物を作製できます。また、レジンを混ぜることによって費用を抑えられるというメリットもあります。症例によっては、クラウンを作製する際に金属で補強することがあります。

メタルボンド

メタルボンド

内側のフレーム部分は金属を使用し、外側の見える部分にセラミックを使用するものになります。フレームに金属を使用することで強度や耐久性が増し、奥歯のように強く噛むところにも白い補綴物を入れられます。こうした特徴から、ブリッジなどに適しています。透明感ではやや劣りますが、唾液の吸収による変色や口臭などの心配もほとんどありません。

ゴールド

ゴールド

金合金やプラチナ合金などの貴金属で作る補綴物です。金色なので、審美的な観点からすると周りの歯に調和しにくいですが、適合性に優れていて歯との間に隙間ができず、しっかりフィットします。天然歯に近い強度なので噛み合う歯を傷めません。また、生体親和性にも優れており、歯肉との境目が黒ずむ心配もあまりありません。

銀歯

銀歯

銀歯は保険診療で作製でき、費用を大幅に抑えられるという大きなメリットがあります。また、噛む機能にも問題がなく、奥歯のようにしっかり噛むところにも適用できます。一方、経年劣化によって歯との間に隙間ができやすく、二次虫歯にかかりやすくなります。また、金属特有のギラつきがあり周囲の歯に馴染みにくいというデメリットもあります。金属アレルギーを起こす心配もあります。

金属アレルギーについて

金属アレルギーについて

金属アレルギーというと、指輪やネックレスなどの金属が肌に触れてかぶれることを指すこともありますが、口腔内に入っている銀歯などの金属が原因でアレルギーを発症することもあります。発症するのは口腔内だけでなく、お顔や全身に発疹として現れたり、肩こりや頭痛の原因となったりすることも考えられます。
セラミックを使った補綴物は非金属製なので、金属アレルギーを起こす心配がありません。金属アレルギーが起きないか心配な方は、セラミックなどの金属アレルギーを起こしにくい素材を選択することもご検討ください。

審美的な詰め物・被せ物治療にともなう一般的なリスク・副作用

  • 審美的な治療としてセラミックによる治療を行なう場合、自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
  • 事前に根管治療(神経の処置)やコア(土台)の処置が必要となることがあります。
  • 治療では歯を削ることがあります。また、知覚過敏を発症することがあります。
  • 抜髄(神経の処置)や抜歯が必要になることがあります。
  • 抜歯や外科処置をともなう場合、出血や腫脹(しゅちょう)を生じることがあります。
  • 治療で歯肉を移植する場合、二次的な出血・疼痛・腫脹(しゅちょう)が見られることがあります。
  • 治療後、自発痛、咬合痛、冷温水痛を生じることがあります。
  • 歯ぎしり・食いしばりなどの癖や噛み合わせによっては、補綴物が破損することがあります。
  • セラミック製の補綴物は、金属製の補綴物よりも歯を削る量が多くなることがあります。
  • 噛み合わせ・歯ぎしりの強い方は、セラミックの破損を防止するため、マウスピースをおすすめすることがあります。